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2011年5月号 頚椎椎間板ヘルニア

頚椎椎間板ヘルニア 頚椎椎間板ヘルニアとは、椎間板が背中側後方靭帯を破って脊髄や神経を圧迫する症状です。 椎骨と椎骨に挟まれている椎間板は、椎骨にかかる圧力をクッションのように和らげる役割を果たしています。

頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板が強く圧迫されて内部の髄核(ずいかく)が飛び出し、神経根を圧迫した状態です。ヘルニアが上肢へ向かう神経を圧迫すると、頚部(首辺り)から肩、肩甲部、上腕にかけて耐えがたい痛みが発現します。

さらに、しびれや知覚障害、筋肉の麻痺なども発現することがあります。

一方、ヘルニアが脊髄を圧迫すると、 通常は激しい痛みはなく、四肢のしびれや知覚・運動障害などを呈します。さらに膀胱直腸障害を引き起こすこともあります。

整形外科での急性期の治療では、鎮痛剤、筋弛緩剤、ステロイド剤などの内服薬による治療や、仙骨硬膜外ブロック、選択的神経ブロック、椎間板内ステロイド注射などの点滴や注射による治療を行います。慢性期での治療では牽引療法、温熱療法などの物理療法を行いますが、なかなか症状が改善されない場合や、手術にまで至ってしまう場合も多いです。

鍼灸治療では、鍼灸特有の鎮痛作用を利用し、星状神経の経路の経穴(ツボ)に鍼をすることによって、神経の流れを刺激し、その刺激が脳や脊髄といった中枢経路を経て、エンドルフィン、エンケファリン等の鎮痛物質を分泌させ、痛みを和らげます。さらに後頸部に鍼をすることで根本的な原因となっている頸部周囲筋の拘縮を弛め、椎間板の圧迫を軽減させ、症状を改善させることができるのです。

中医学(鍼灸)は、現代医学とは違う角度から診る、もう一つの医学なのです。

投稿者:tcm-editor

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